…1985年には、フジタは十分なお金を蓄えていた。ブルキングズのティーンエージャーが3人――ロビン・ソイフェス17歳、リサ・フェルブス16歳、サラ・コーテル17歳――、彼らの小さな町をかつて爆撃しようとしたパイロットの招待客として、日本を訪れた。
「期間は短かったですけど」とフジタはいった。
「ブルッキングズに帰る日、空港で3人は泣きだしましてね。わたしももらい泣きしそうでした。わたしが元気でいるかぎり、ブルッキングズの人が日本へ来るときは必ずお世話することを、どうか書いておいてください。本当にすばらしい人たちなんですよ、ブルッキングズの人たちは…」…『アメリカン・ドリーム』(ボブ・グリーン、集英社)より一部を抜粋
【コメント】
このタイトルは、この本にふさわしくはありません。原題は、「シカゴ・トリビューン紙からのコラム選集」という意味の英語で、その名のとおりボブ・グリーンのコラム記事を集めたものです。日本人のフジタさんは第2次世界大戦のさなか、命令によりひとり戦闘機で海をこえ、ブルッキングズ近くの山に爆弾を落とそうとしました。爆弾は不発に終わり、終戦後にブルッキングズの町から招待状が届きました。フジタさんは招待に応じ、まるで邪意のない人たちに感銘をうけ、今度はブルッキングズの少年たちを日本に招待したのです。その経緯をボブに語った部分を抜粋しました。不思議な物語です。