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『ウォルト・ディズニー』ボブ・トマス

…”光陰矢のごとし”の夕べ

 ところ ディズニーランド…スペース十分あり

 と き 1955年7月13日(水)午後6時より

 わ け 私たちの結婚がおかげさまで30年も続きましたので

 おたのしみ「マークトウェイン号」の処女航海でミシシッピ川を下ったのち、「ゴールデン・ホースシュー」のサロンで晩餐。

 皆様のおいでをお待ち申しあげます。ところで、贈り物はお持ちになりませんよう――孫から何からすべて間に合っております。…『ウォルト・ディズニー -創造と冒険の生涯- 』(ボブ・トマス/講談社)より抜粋

 

【コメント】

抜き出した箇所は、ウォルトと妻リリーとの30回目の結婚記念日を祝う集いへの招待メッセージです。読んでおわかりのとおり、ディズニーランドのオープン披露を兼ねたもので、300名の人々に送られました。生涯においてこれほどの至福のひとときをもてる人は、そう多くはないでしょう。また別の日のたそがれどき、ある職員がひとりぽつねんとベンチに座る人影を見ました。白い蒸気を噴き上げながら川を曲がっていくマーク・トウェイン号を、じっと見つめるウォルトの後ろ姿だった、とのこと。まさに少年のまま生涯を終えた人でした。