……これまで10以上の治療を受けたでしょうか。その結果、がんを制圧できたかと思っていましたが、またがんが暴れ始めたことがわかりました。しかし、それでも後ろ向きになりことはありません。「今度はどんな治療法でがんを制圧しようかな」と、むしろ楽しみにしています。次から次へと手を打っても新たな問題が出てくる。それはそれで楽しいものであり、自分にとって新たなチャレンジでもあります。
どんな治療法であっても、自分の身体であれば誰からも非難されません。僕が取り組んできた治療の多くは、厚生労働省が推奨している標準治療から外れています。
いわば、僕は実験台です。美容外科でもそうでしたが、自分は実験台でいい。その治療がうまくいけば誰かの役に立てますし、たとえ失敗してもその後の教材になる。
僕は医者としての業績を残していないので、モルモットとしての業績だけでも残したいと考えています。……『全身美容外科医 -道なき先にカネはある- 』(高須克弥/講談社+α新書)より抜粋
【コメント】
抜粋部分は、本書のあとがきにある文章です。思い切った生き方をされる高須さんらしい、宣言の言葉ともとれるでしょう。ただ、それだけの実験台になるにも、多くのお金と専門医の協力が必要でしょうから、並の人間には真似ができません。もちろんお金と名声があれば、できることでもないでしょう。おそらく高須さんは、自分という人間を値踏み(お金のことではありません)して、そんな安いことで命はやれんぞと、病魔を蹴散らしてきたのではないでしょうか。命を粗末にしない、その姿勢はかくも熾烈であることもできるのだと、その声が聞こえるようです。